にのだん社会保険労務士事務所

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にのだん社会保険労務士事務所だより「たすき」令和3年10月号(No.23)

【最低賃金の改定・1年後に迫った社会保険適用拡大】             

まずは経営者様にとって耳の痛いお話かとは思いますが今月10月1日から最低賃金が変更されます。和歌山県の地域別最低賃金は時間額859円と28円のアップとなります。昨年「アルバイト募集!」と貼り出された情報を見ると時給が最低賃金を下回っているお店も見受けられました。知らないうちに最低賃金法違反となります。最低賃金のルールとしまして①時給で支払う方については【時間給≧最低賃金額】②日給で支払う方については【日給÷契約で定められた労働時間≧最低賃金額】③月給で支払う方については【月給×12ヵ月÷契約で定められた年間労働時間≧最低賃金額】で労働契約の金額と最低賃金額を比較したうえ計算の基礎の中に「臨時で支払われる賃金や時間外労働や深夜労働による割増賃金、皆勤手当・通勤手当・家族手当」を含まないようご注意ください。なお、時間給を上げざるを得ない中で労働時間の短縮や作業効率を上げるために新しい設備を導入した場合など条件が満たされれば「業務改善助成金」が活用できるかもしれません。現在、問い合わせ先として「業務改善助成金コールセンター」(TEL:03-6388―6155)が開設されているとのことです。従業員さんとのコミュニケーションの中で現状の業務に関する問題点を洗い出し、ひとつでも改善に変化していくための方法を模索し、非効率な部分を無くしていく。それが労働生産性の向上につながり結果、競争力を高めていくことにつながるのかもしれません。

次に先の話ではありますが2022年10月から社会保険適用拡大の基準が改定されます。現在501人以上の規模が101人以上に変更され①週の所定労働時間が20時間以上であること②雇用期間が2ヵ月を超えて見込まれていること③賃金月額が88,000円以上であること④学生でないこと以上事業規模プラス4つの基準が満たされれば法改正後は短時間被保険者として社会保険に加入しなければならないので、それを見据えた対策が必要になります。先日興味深い記事を見かけたのが、101人以上規模の人数の定義とは?これについては適用拡大前の被保険者(1日または1週間の労働時間および1ヶ月の所定労働日数が、通常の労働者の4分の3以上)となるべき人数でカウントとなり、法人なら全事業所単位で計算とのこと。さらに101人以上をどこの時点で判断するかについては月ごとに人数をカウントし、直近12ヵ月のうち6ヵ月で基準を上回ったら適用対象となるとのことです。また一度適用拡大となった場合、被保険者の4分の3以上の同意で対象外になる手続きをしなければ、従業員数が基準を下回っても引き続き適用対象となります。通常の被保険者数が100人前後の事業所さんにとって非常に敏感となる話題ですが、従業員さんによっては「健康保険・厚生年金保険料が天引きされる」「夫の扶養からはずれないといけない」などの理由で労働条件の変更を希望することも考えられるので、意見聴取など早めの準備が必要かもしれません。

【「プロフェショナルな仕事とは」を考える】

先日テレビで交通誘導警備のお仕事をされている80歳代の高齢男性を取材した番組を見て共感できる部分がたくさんありました。ちょうど9月に息子の中学校で体育祭があり、今年度は育友会役員になった関係で隣にある小学校のグラウンドに親御さんの車を誘導する手伝いをしましたが、自分の思うように車を誘導できない。一台の誘導に集中すると次に来る車の誘導が疎かになるなど想像していた以上に車の誘導は難しいと感じました。それでも自分なりに相手に伝えるにはどうすれば良いかを考えた結果、早朝雨が降っていたため持参していた傘を誘導棒のように振り回し、停車場所が分かるように必死にジェスチャーしました。会釈をすると相手の方も返してくれるのが分かり嬉しかったです。「誘導良かったですよ」と声を掛けられてホッとしながら交通誘導の仕事をされる方の大変さを改めて感じさせられました。

普段、買い物に行くと施設内または出入口で交通誘導をされている警備員さんがいますが、ついつい「誘導する態度が横柄やなあ」とか「もっと上手く誘導できへんのか」など不満を感じることがあります。とあるスーパーに行くと立っているだけで進むべきなのか止まるべきなのか分からない曖昧な誘導をされ挙句の果て「早く動いて」と急かすように誘導する方がいる一方、別の日に同じスーパーで対応された女性の警備員さんのように誘導棒できびきびと案内をしながらかつ軽く会釈までしてくれる方もいます。誘導の仕事を自身の尺度で上手い下手と比較するものではないですが、後者の警備員さんのような仕事をされる方は常日頃から「どのような誘導、さらにどのような態度で接したら相手に伝わるものがあるだろうか」を熱心に研究し日々向上を目指されている結果ではないかと想像できます。これはまさに「プロフェショナルの仕事をしている」と私は感じます。先月感情的に取り上げた接客の話にもつながりますが、私がかつて勤務していたスーパーには経営理念や経営戦略が掲げられており、その中に「各自が専門性を磨き、プロの領域を持つこと」ということばがありました。私の心の中で今もそれは目指し続けている目標となっており、前回私が体験した接客はプロフェショナルな仕事には程遠いものであったと感じます。新しく採用する人材、すでに雇用している人材に「プロフェショナルな仕事」を伝えることは決して簡単なことではありませんが、決して完璧にこなすことだけがプロフェショナルな仕事になるとは限らず、自身の仕事にプライドと誇りを持ちながら、相手の気持ちを考える、自分の行動が周りにどのような影響を与えるかなど「目配り気配り心配り」を心掛ける。そのために日々の自己研鑽を忘れない。そのようなアドバイスの積み重ねが他の競合に決して負けない「信頼と支持」を受ける会社やお店に繋がっていくのかもしれません。

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